2015年7月8日 10:00
富士通研究所があえて「認知症」に取り組む理由- グランドチャレンジ、技術では解決できないイノベーションの糸口
多くの人、団体、企業の知恵を集めなければならない課題であり、認知症で困っている人の多さを考えれば、企業にとっては新たなマーケットとの接点ともなり得る。さらにここまで大きな社会問題であれば、同業他社でさえコンペティターにはなりにくく、多様な企業がコミュニティに加わってくれるはずだ。
○アイディアを形にすることで、次のつながりが生まれる
コミュニティづくりのベースとなる分野は決まった。次はそこで何ができるかが問題となる。岡田氏は人間の行動プロセスを研究しているチームのメンバーと、認知症本人と家族のイベントに参加するところから始めた。いわゆる現場観察という手法である。その後、製造・流通・交通・金融などに携わる企業や自治体・福祉関係者など多様な職種の人材を招き、それぞれの視点から認知症について話し合うワークショップの開催や、記事冒頭で触れた「RUN伴」の実施支援などに関わっていく。こうした活動の中で、次第にネットワークは拡がっていった。
最近ではパターンランゲージを世界で初めて福祉分野に応用した書籍の出版や、その本をベースにしたカードの制作にも携わった。
「アイディアだけでなく実際に形にすることができれば、それを新たなきっかけとして、別のネットワークづくりに役立てられます。