高校野球の激戦地神奈川の4回戦で涙を飲んだ進学校のイケメン右腕が描く夢
佐相監督が選手たちに授けた言葉に『陽転』がある。宮崎がその意味を説明する。
「ピンチの後には面白いことが起こると思え、という発想です。ピンチをピンチと思えば、体が固まるので」。
初回からピンチの連続だった横浜戦。宮崎を中心とするナインを支えたのは、まさに『陽転』の二文字だった。校訓でもある文武両道も、どちらかを困難だと感じれば実践できなかったはずだ。
宮崎をはじめとする3年生は卒業後の新たな道で、悔し涙とともに「甲子園」という夢を託された後輩たちは来春の選抜出場を目指して、骨の髄まで染み込んだ相模原伝統の『陽転』を心のなかで叫びながら未来へ進んでいく。
○筆者プロフィール: 藤江直人(ふじえ なおと)
日本代表やJリーグなどのサッカーをメインとして、各種スポーツを鋭意取材中のフリーランスのノンフィクションライター。1964年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。スポーツ新聞記者時代は日本リーグ時代からカバーしたサッカーをはじめ、バルセロナ、アトランタの両夏季五輪、米ニューヨーク駐在員としてMLBを中心とするアメリカスポーツを幅広く取材。スポーツ雑誌編集などを経て2007年に独立し、現在に至る。Twitterのアカウントは「@GammoGooGoo」。