2015年10月22日 12:54
白騎士、見参 - 中国の新型ロケット「長征六号」が切り開く未来 (1) 長征ロケットの歩み
2015年9月19日の夜。中華人民共和国を流れる黄河の上流域、通称「黄土高原」と呼ばれる一帯は、初秋の寒さに包まれていた。その静けさの中、山西省にある太原衛星発射センターでは、大勢の人々が夜通しで働いていた。
その中心には、「長征六号」と名付けられた新型ロケットが鎮座していた。暗闇の中、照明に照らされ、白く煌々と輝く姿から「白騎士」とも呼ばれていた。
夜が明け、9月20日7時1分。長征六号はまばゆい光と轟音とともに、大空高く舞い上がり、そして予定通りの軌道に、搭載していた20機の小型衛星を投入した。
長征六号に使われている技術は、世界的にも実用例が少ないきわめて高いものであり、またその技術を共有する、中型、大型のロケットの実用化に向けた先駆けとして、今回の長征六号の打ち上げ成功は大きな意味をもっている。
この長征六号にはどんな意義があるのか、そこに使われている技術はどんなものなのか、そして、その未来には何が待っているのだろうか。
○長征ロケットの歩み
1934年10月15日、中華ソヴィエト共和国の根拠地であった瑞金は、国民党政府軍によって包囲された。追い詰められた中国紅軍(中国共産党軍)