2015年11月6日 09:00
地球最後の秘境・深海はどんな世界? - 日本人映像監督初! 山本氏の深海体験 (2) 日本人監督初! しんかい6500で潜った深海 - 天国ってこういうところかな
と思いましたね。
――天国! どんなところが天国と感じたのですか?
山本:音もまったくなければ、潮の流れもない。生き物もいない。光もない。光が100%ない世界は日常ではなかなか体験しないですよね。光がない世界なんだと思うと、ただの岩場が急に神々しく見える。
お花が咲いてきらきらしている天国もあるのかもしれないけれど、もしかしたらこういう静寂で音も光もない、「無の世界」のような天国もあり得るかもと思ったんです。
――宇宙もそうだと聞きますね。
生き物の気配がない世界…
山本:そうなんです。気配が何もない。音も動きもない沈黙の世界ですね。水深50mぐらいまでは6K(しんかい6500)から出る気泡みたいなものもありますが、それもやがておさまって、あとは無の世界です。
――海の色の変化について感じるところはありましたか?
山本:水深50mを過ぎたあたりからほぼ光が入ってこなくなって、水深100m前後で濃い群青色になり、そのあとは漆黒の闇です。映画「グランブルー」の(ようなブルーの)世界が一瞬あったあとは真っ暗な世界なんです。ビデオカメラを通すとどうしても機械のほうで色や明かりの補正をしてしまうので、これは肉眼で見ないと、と思ってずっと肉眼で見ていました。