くらし情報『テレビ・ワンシーン考現学 (19) 「ここからはカメラ止めてください!」の仕組み』

2015年11月9日 11:30

テレビ・ワンシーン考現学 (19) 「ここからはカメラ止めてください!」の仕組み

これはこの連載に通底するテーマでもあるが、テレビの「よくあるシーン」を散々浴びせられると、同じシチュエーションに置かれた時に、そのシーンを反復してしまうのが人間というもの。そうはいっても、「僕は死にましぇーん」と叫ぶためにトラックの前に立ちはだかっても実際には死んでしまうことを私たちは知っているから、話半分で理解したり、話4分の1や話8分の1で理解したりする。つまり、調整する。

芸能人ではない著名人は、なにかとドキュメンタリー番組の被写体として重宝されるが、この人たちは、「テレビに出るのは初めてではないし、かといって、ずっと追われることに慣れているわけでもない」という状態にあるから、カメラに追われるなかで距離感を調整していく感じが漂ってきて面白い。最初と最後で、どこまで取材陣に心を許しているかが異なるから、その度合いを見せつけるのが、ドキュメンタリーの一つの柱になってくる。

○カメラの暴力性を際立たせる方法

「ここから先は撮らないでください!」「カメラ止めてもらえますか!」という場面を、少なくとも年に数回は見せつけられているのではないか。情熱的な大陸を好む貴方ならば、月に1度はそんな場面に遭遇しているだろう。

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