2015年11月14日 12:00
「人の服のシワがかっこいいと気になります」- フィギュアを生み出す仕事・原型師の舞台裏
それから、背景にも驚かされました。これ、後ろから光を当てて見ると、影絵のように「薬売り」のシルエットが浮かび上がってくるんです。この見せ方には驚かされましたね。原型を造っている時は台座はただの輪っかでしたから(笑)。
――確かにすばらしい演出です。それも伊藤さんの美しい原型があってこそだと思いますが、原型制作のこだわりについて教えてください。
まず、顔ですね。原作に近づけることはもちろんですが、「薬売り」は女性人気の高いキャラクターなので、それも意識して造りました。
妖艶かつ、人間のようで人間ではない感じを出したくて、アニメや資料を何度も見たのですが、絵によってもバランスが少しずつ違うのです。そこから自分なりに一番いいと思うバランスで顔を造っていったのですが、途中で「もう少し面長の方がいいのでは?」という迷いが出てきました。そこで、少しだけ面長にした顔も作ってみて、メーカーの皆さんに2種類見ていただき、ディスカッションして決めました。
――どちらになったのですか?
最初に造っていた方ですね。
――そういった迷いはよくあることなのでしょうか。
よくあります。原型を造っていると、だんだん自分の好みが反映されていきます。