くらし情報『抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (1) 「あかつき」はこうして生まれた』

2015年12月8日 12:37

抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (1) 「あかつき」はこうして生まれた

多くの衛星では、両翼にある太陽電池はそれぞれの側面側に折り畳まれているが、PLANET-Cでは探査機の高利得アンテナがある側に、蓋をするような形で折り畳まれている。これにより、タイダウン(拘束具)のメカニズムを共通化でき、軽量化につながった。

そしてもうひとつ、PLANET-Cにとって最大の変更ももたらされた。スラスターがセラミック製に変わったのだ。通常、人工衛星のスラスターにはニオブ系合金の金属製のものが使われる。しかし、耐熱性に制限があり、また寿命や取扱性にも問題があり、さらに日本にとっては特許の問題から海外から輸入するしかなく、入手性にも問題があった。そこで、金属ではなく窒化珪素系セラミックスを使った「セラミック・スラスター」の開発が行われた。

セラミックはニオブ系合金よりも耐熱性が高いため、その分スラスターの性能を上げることができる。
またニオブ系合金で必要な耐酸化コーティングも不要という利点がある。そして国産であるため入手しやすく、いわゆる「ブラックボックス」にもならないため、問題が起きても十分な調査が行えるという利点もあった。

開発は順調に進み、試験を繰り返した結果、十分な性能と信頼性をもつことが実証された。

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