“コンテンツの雄”カドカワと“予備校の老舗”代ゼミが高等教育で組むワケ
だが、代ゼミNスクールは、リアルなコミュニケーション実践の場になりうる。ネットによる受講・レポート提出は、時間的に合理的かもしれないが無機質な感もある。リアルな学びの場である代ゼミNスクールは、N高のみの教育と比べ、有機的といえるだろう。
加えて、代々木ゼミナールの講師陣による講義を、N高生徒に受けさせることができるのもメリットだ。代々木ゼミナールは“講師の代ゼミ”と呼ばれるぐらい、講師陣が充実している。予備校として60年間培ってきたノウハウを、N高生徒に対する教育に生かせるというわけだ。
○“本業後退”の流れに一定の歯止め
一方の代々木ゼミナールとしても、N高生徒を受け容れることに利点がある。それは、“予備校”というイメージからの脱却だ。
予備校というと、どうしても“浪人生が対象”という印象で凝り固まってしまう。代々木ゼミナールは、もちろん高校生の“塾”としての事業も手がけているが、やはり浪人生相手の企業というイメージが強い。
加えて、少子化による受験生人口規模の縮小、現役主義の浸透による浪人生の減少、AO入試の普及による受験勉強の価値後退といった要因が追い打ちをかける。代々木ゼミナールが全国に展開する複数の校舎を閉鎖し、不動産業に転換するという報道が流れたのは記憶に新しいところだ。