2016年2月2日 13:00
カーエレクトロニクスの進化と未来 (84) ルネサスのクルマ用半導体の戦略と戦術(後編)
○クルマのコンピュータ化
クルマの走行中は、データをクラウドに上げて計算するのではなく、クルマ内のコンピュータ能力を高めておく必要がある。クラウドとのやり取りだけに頼っていては、応答が遅くなる恐れがあるためだ。このためにITのコンピュータ能力を高めておく。そして、そのインタフェースとなるのがダッシュボード周りであり、ルネサスはそれをコックピットと呼んでいる(図8)。いわばドライブシミュレータのようなものだ。
今回の展示会で同社は、総合コックピットをフロントガラス前面にヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いて表示させるというデモを行った(図9)。例えば霧などで前方がよく見えない場合、AR(拡張現実)を用いて、視界が短くてもHUDを通した景色は、まるで霧が晴れたように遠くまで見通せるようになっている。このIT化には、安全性を向上させるための認識と判断機能を高速に計算するSoCとして、R-Car H3を提案する。
R-Car H3はカメラやレーダー、ライダーなどからのカメラ映像と、その情報から車を「走る、止める、曲がる」という操作を行う半導体も用意している。ルネサスはこれらを提案するための基板プラットフォームを開発した。