2016年4月30日 12:00
俳優・渡辺謙が感じる、エンタメを受け止める環境の変化 - SNS時代への危惧、観客への思い
大きな災害が起こった時に、人の生死が数字としてカウントされてしまうことの怖さもあります。現実としてそのできごとに傷ついたり、受け止めたりしなければいけないことはあるわけで、深くて重くて大事なものであることを、映画というフィクションを通してでも感じてもらえたら、と思いますね。
――タクミという役柄については、どのような役作りをされたのでしょうか?
タクミは生死の世界の中間点にいる存在で、アーサーの奥さんであるジョーン(ナオミ・ワッツ)の思いを受け止めるような役割でもあると考えながら、演じていました。青木ヶ原という場所の磁力もあり、「タクミだけどタクミではない」という瞬間もあったと思います。単純にひとつの役をつくり上げるのとは違う意味で、面白かったですね。「ナオミ・ワタナベ・ワッツ」みたいな感覚はありました(笑)。
――観ているだけでもハードそうだったのですが、一番大変だったシーンを教えて下さい。
やっぱり、濁流に飲まれるシーンですね。
4日間くらいずっとずぶ濡れのシーンを撮っていたので、本当に大変でした。
○映画の世界と、舞台の世界の違い
――ブロードウェイの舞台にも出演されていますが、映画の現場との違いや受け止められ方の違いなどはありますか?
映画はミステイクの連続で、いっぱい撮ったテイクの中で良い物が出てくればいいという考え方です。