2017年5月19日 18:05
『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督を直撃! すべてを見せない演出の美学とは?
SF映画として余計なものは極力削ぎ落とし、洗練されたアプローチをした『メッセージ』(5月19日公開)。メガホンをとったのは『ブレードランナー 2049』(10月27日公開)も待機中のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だ。来日した監督にインタビューし、「すべてを見せない」という演出の美学に迫った。
『メッセージ』は第89回アカデミー賞で8部門にノミネートされた話題作。ある日、巨大な球体型宇宙船が突然地球上に降り立ち、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)が、知的生命体とコンタクトを取っていく。
本作で特筆すべき点は、広大な宇宙のロマンと、小宇宙のようなヒロインの半生をリンクさせた点だ。観終わった後、実は非常に繊細でパーソナルな映画だったことに驚嘆する。
ミニマリズムを追求した宇宙船のデザインも粋だが、ヴィルヌーヴ監督の「"ばかうけ"からインスパイアされた」というジョークを飛ばせる懐の深さも素晴らしい!
――以前からSFというジャンルは好きだったのですか?
SFについて語ろうと思うと、自分の子ども時代にさかのぼることになる。
僕はカナダの小さな街で生まれ育った。冬が長かったので、よく家でSF作品などに触れていたんだ。