2017年6月10日 21:00
『この世界の片隅に』のんに心揺さぶられ…CMディレクター・箱田優子の挑戦 - 人気女優の演出法と"ブルーアワー"の表現
行きたい方向に行き、会いたい人にも会える恵まれた状況でもあったんですが、興味があった映画業界も「もしや……」みたいな予感がありました。結局、個性やオリジナリティって何だろう、と。
映画も広告も好きだから観たり勉強したりするんですけど……みんな本当は「気づいて」いるんじゃないのかなって。作り手側の狙いを。映画やCM業界じゃなくても、目に触れるものってそうやって気づかれているんじゃないかなって。滲み出る「アレ」みたいな感じで。
感動させたい。観客の心を突き動かしたい。
作っている側の人たちは、「もっとこうすれば届くんじゃないか」と日々作戦を練るんですけど、人ってそんなに簡単に手のひらを転がらないと思うんです。想像力豊かな人はこの世の中にたくさんいるはずなのに、狭く狭く落とし込もうとしているのは、作っている側の人たちなんじゃないかとすごく思います。○やっぱり映画はすばらしい
――最近、心を突き動かされた映画はありますか?
『この世界の片隅に』は、観てよかったと久しぶりに思えた映画で、すべてに対して愛を感じました。大々的に宣伝されることもなく、クラウドファンディングで制作資金を集め、ようやくお客さんに届けて、作品が口コミで広まっていく。