SNS激賞!『スリー・ビルボード』がただのクライムドラマに収まらない理由
は、一向に進展しない捜査に業を煮やす。彼女は警察署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)を名指しで抗議すべく、町外れに巨大な広告看板を設置する。
ミルドレッドは娘を殺された被害者で本来なら同情を誘う立場なのに、筋金入りの偏屈で頑固者なため、嫌われ者のポジションに。その一方で、公開処刑された警察署長のウィロビーは人望が厚く、さらに末期がんを患っている。さーて、どっちにつくのか?という流れなので、なかなか主人公ミルドレッドの方に感情移入しにくいのだ。
ウィロビーは直接、ミルドレッドに捜査状況を説明しに行くが、彼女は応戦体制で牙をむく。あーあ、なんでそうなるの? 結果、ミルドレッドはウィロビーを心から慕う部下のディクソン巡査(サム・ロックウェル)をはじめ、周りから反感を買うことに。
アメリカ映画ではありがちな設定だが、わかりやすい勧善懲悪に落とし込むこともなければ、喧嘩両成敗の物語にもしなかった点がミソ。
ミルドレッドは、孤立無援な闘いを強いられていく。
ミルドレッドを演じたのは、『ファーゴ』(96)でアカデミー主演女優賞を獲得した演技派女優フランシス・マクドーマンドで、受賞含めて5回目のノミネートとなった。