SNS激賞!『スリー・ビルボード』がただのクライムドラマに収まらない理由
特に、マザコンのやんちゃ坊主がそのまま大きくなったようなディクソン巡査は、ミルドレッドと同じくらい融通がきかない面倒くさい人間だが、次第に人間としてピュアな部分が表に出ていき、予想外の展開を見せる。
○■実は、言葉の力が裏テーマにもなっている
本作の物語は、言葉の力で糾弾する3枚の看板からスタートする。言葉は使い方によってナイフよりも切れ味の良い武器となることを痛感させられるが、その一方で、言葉が時には人生に一筋の希望の光をもたらすという例も紹介されていく点がニクイ。
近年、ネット上でも心ならぬ暴言や本音が投稿され、炎上を招くケースが多々ある。『スリー・ビルボード』では、文字通り3枚の看板が炎上するシーンがあるが、その流れは現代のネット社会へのメタファーになっているような気さえしてくる。
また、本作では、クライムドラマにありがちな予定調和な結末を敢えて封じている。それなのに、いびつでささくれた心をもつ登場人物たちを迎えるのは、魂を震わせる結末なのだ。いやあ、心憎い。
オスカーの行方が今から楽しみである。(C)2017 Twentieth Century Fox
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