『アウトレイジ最終章』録音部の鉄則とは? 北野武と唯一無二の緊張感
――北野監督は多くを語らないそうですね。これまで取材させていただいた北野組の方々も同じようなことをおっしゃっていました。
音楽と効果のスタッフさんとは打ち合わせをしますが、監督は出したい音のイメージを撮影の現場でおっしゃるので、それを台本に書き込んでおいたり。シーンの準備をしている時に「こういう音が欲しい」と伝えてくださるんです。
――「欲しい音」というのは、例えばどのような音なんですか?
フレームには映り込んでない要素の音ですね。それは想像しないとたどりつけない。例えば環境音や、メイン以外の人のアクションノイズとか。ある人が殴られてフレームの外に出てしまった時に、「棚にぶつかったような音が欲しい」みたいに。
○関東と関西とバカヤロー戦争
――観客はその作られた音を聞いて無意識に映像化しているわけですね。
そうなんです。撮影中に実際にぶつかってもらうわけにはいかないですからね。撮影が終わって、そのまま現場で音を録ったり、効果さんに頼んだりもします。
――録音は「声」を連想してしまいますが、それ以外のあらゆる「音」を拾うことも大事なんですね。
そうですね。この作品ではないですが、そのシーンの舞台とは違う場所での撮影だった場合、現地まで行ってその街の音を録ったりもします。