『アウトレイジ最終章』録音部の鉄則とは? 北野武と唯一無二の緊張感
と言われることもあります。僕らが保険としてほしくても必要なかったらハッキリとおっしゃってくださいます。
――『最終章』の公開後、大変悲しいニュースがありました。久連石さんにとって、大杉漣さんはどのような役者さんでしたか?
すごく優しくて、僕らにも気さくに話しかけてくださる方でした。ずっと早口で、感情的にも爆発して大変な役なんですよね。聞き取りづらい場面があって、それを正直にお伝えしたら、「えっ!? 本当? ちゃんと言ってると思うんだけどなぁ」と、とぼけながら明るく雰囲気をほぐしてくださいました。大杉さんからは、力強いセリフをいくつもいただきました。
――お人柄が伝わるエピソードですね。
ありがとうございました。北野監督と初めて会った時のことは覚えていらっしゃいますか?
初めてお会いしたのは、『みんな~やってるか!』(95)です。演歌のシーン用の歌録りをして、それが初めてだったと思います。当時は緊張していて、ほとんど覚えていません(笑)。その後の会話で覚えているのは……『座頭市』(03)の頃に、タップの音の広がり方のイメージを、先輩の堀内よりも先に僕にヘッドホンをかけて「こんな感じにしてくれ」