2018年6月7日 07:00
是枝監督「今わかった」“スイミー少女”への『万引き家族』と一部批判
「通常の枠を超えて多くの人のところに届いているんだなと個人的にはすごく前向きに捉えています」と冷静に語る。
撮影前には、児童虐待の保護施設を訪れたこともあったという。学校から帰って来た女の子に「今、何勉強してるの?」と尋ねると、女の子はランドセルから国語の教科書を取り出し、レオ・レオニの「スイミー」を朗読しはじめた。施設職員から「みんな忙しいんだから」とやんわり注意されても気にも留めず、結局は最後まで読み切ってしまう。「僕たちがみんなで拍手をしたら、すごくうれしそうに笑った。この子はきっと、今は離れて暮らしている親に聞かせたいんじゃないか。その子の朗読をしている顔が頭から離れなくて、今回の映画の中で少年が教科書を読むシーンを書きました」と秘話を明かす。
その後、別の記者からの「社会問題をテーマに選んだ関係上、観衆の対象として監督の頭の中に政治を生業にする人、あるいは官僚、そういった人たちがイメージの中にあったのか」には、「ありませんでした」と即答。
「テレビをやっている時代から先輩に言われていたことが、『誰か一人に向かって作れ』『一人の顔を思い浮かべながら作れ』でした」と回顧した。
「それは母親でもいいし、田舎のおばあちゃんでもいいし、友人でもいい。