読む鉄道、観る鉄道 (11) 『大いなる旅路』 - 脚本・新藤兼人、主演・三國連太郎で描く機関士人生
と決意を新たにする。
生まれ変わった浩造は、堅実に仕事を続ける。
次男が生まれる頃には機関士に昇格。
3男1女に恵まれた。
だが長男は徴兵され、後に戦死してしまう。
次男は父の思いを受け継ぎ、東京鉄道教習所に合格。
浩造の運転する列車で東京へ。
三男は予科練に志願した。
戦後を迎えて社会が落ち着くと、今度は長女が自由恋愛になびいて去ってしまう。
「みんな出ていってしまって、育てた甲斐がない」と嘆く妻に、「子供なんて、みんなそんなもんだよ」と浩造は諭す。
戦後も浩造は機関士として働く。
その間、次男は佐久間の娘と結婚、その一方で三男の死など、喜びや悲しみが積もりゆく。
そんな中、浩造の働きが認められ、国鉄本社で表彰されることに。
功績章を胸に付けた浩造と妻は、次男が運転する「こだま」に乗り、旅を続ける……。
機関士という仕事に向き合ってきた主人公と家族のドラマ。
脱線事故のほかに大きな山場もなく、ミステリーのようなトリックも、大仕掛けで盛り上がる場面もない。
しかし、ラストシーンでは人生の重み、家族の絆などさまざまな思いが蘇り、感動の波がわき上がる。
映画製作のきっかけとなった事故は1944(昭和19)