くらし情報『読む鉄道、観る鉄道 (11) 『大いなる旅路』 - 脚本・新藤兼人、主演・三國連太郎で描く機関士人生』

読む鉄道、観る鉄道 (11) 『大いなる旅路』 - 脚本・新藤兼人、主演・三國連太郎で描く機関士人生

年、山田線で起きた。

機関車が雪崩で崩れた鉄橋にさしかかり転落。

28歳の加藤岩蔵機関士が死亡し、機関助士も負傷した。

加藤機関士は労働組合の殉職者名簿において、「死ぬ間際まで安全のため職務を全うした機関士」として記録された。

機関助士も、負傷しながらも事故防止に尽力したと讃えられている。

このエピソードを知った新藤兼人氏が映画製作を立案。

脚本を手がけて関川秀雄氏に提供したという。

主人公の名前は「岩見浩造」であり、殉職した加藤岩蔵機関士から「岩」の字を取ったといえる。


映画公開後、事故現場に記念碑も建てられた。

映画では、老練な橋下機関士が壊れた時計を示し、「これが発生時刻だ、すぐに知らせに行け」と指示している。

これも実際のエピソードによるものだという。

この場面を撮影するにあたり、山田線浅岸駅のスイッチバックで本物の機関車を脱線させた。

国鉄上層部が特別に許可したという。

映画に使われた機関車は8620形だが、事故にあった機関車はC58 283号機で、戦後になって引き上げられ、再び山田線を走ったとのこと。

物語の舞台は盛岡機関区だ。

映画でも、同機関区に所属していた蒸気機関車がたくさん登場する。

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