読む鉄道、観る鉄道 (14) 『皇帝のいない八月』 - ブルトレブームの子供たちを怖がらせた陰謀物語
杏子は、ホームで「さくら」の車中にいるはずの夫、藤崎(渡瀬恒彦)を探していた。
元自衛官の藤崎が、「危険な旅に出る」と察したからだ。
このとき、すでに全国で自衛隊員によるクーデターが実行されており、藤崎たちも東京に向かう作戦行動中であった。
石森と杏子は、藤崎たちに「さくら」1号車に囚われてしまう。
石森が乗った1号車は、藤崎が率いる自衛隊員ばかり乗っていた。
一方、東京では、すでに内閣情報室長の利倉(高橋悦史)が事態を察知していた。
利倉は総理に報告。
緊急閣議が開催される。
彼らの命を受け、利倉と自衛隊幹部の江見為一郎(三國連太郎)は首謀者の割り出しと、日本各地のクーデター鎮圧に向けて指示を出す。
しかし、このクーデターの背景には、自衛隊を合憲化し国軍として認めさせようとする与党の黒幕一派と、総理が率いる派閥との対立があった。
各地のクーデターが鎮圧に向かうなか、追い詰められた藤崎は、「さくら」に爆弾を仕掛け、乗客を人質に取って目的を達成しようとする。その強い意志を見せつけられた石森は狂気を察し、杏子は愛憎に揺れ動く。
360名の乗客を乗せた爆弾列車は、深夜の山陽本線を東京へ走り続ける……。