読む鉄道、観る鉄道 (14) 『皇帝のいない八月』 - ブルトレブームの子供たちを怖がらせた陰謀物語
1975年の『新幹線大爆破』と同様、寝台特急「さくら」を爆破させるという内容のため、この作品でも国鉄の協力はなかった。
それでも駅や走行シーンのロケは許可したようだ。
本州区間で「さくら」を牽引する機関車はEF65形1000番台。
このことから、撮影時期は公開直前の1978年頃とみられる。
これ以前は前面に扉のないEF65形500番台が使われていた。
おそらく、中盤からの列車ジャックで自衛隊員が運転席に乗り込むために、貫通扉付きの機関車のほうが都合が良かったのだろう。
客室やラストの戦闘シーンに使われた14系寝台車はセットで撮影された。
B寝台や食堂車は精密に作られており、当時「さくら」に乗った経験のある筆者も、セットだと説明されなければ気づかなかった。
3段式寝台を座席利用からベッドに変換する場面で、車掌が中段寝台を降ろす。こんな本筋とは関係ないカットを入れたところに、監督なりのリアリティへのこだわりがありそうだ。
もっとも、寝台車の外部は粗が目立つ。
14系寝台の1号車は床下に発電装置があるはずだけど、セットでは床下に空間がある。
台車はなんと3軸で、空気バネではなく板バネのように見える。