奥様はコマガール (60) 犬馬鹿の境界線と夫婦間のズレ
がそうであったように、人間と動物の関係には世相の混乱を招くだけの影響力がある。
何事も極端は危ういのだ。
かくして僕はチーの認識に安心感を覚え、彼女とポンポンとの新しい生活を送ることになった。
しかし実際付き合ってみると、ポンポンの扱いについて疑問を抱くような出来事が頻発。
すなわちチーの中での過保護の基準が、僕のそれとは異なっていたのである。
たとえばポンポンの暑さ対策についてだ。
猛暑の夏になると、チーはポンポンの熱中症を極端に心配する。
確かにポンポンは長毛種のため、夏場もふわふわのコートを纏っているようなものだから、飼い主としては熱中症に注意しないといけないだろう。
実際、いつかの炎天下の日に30分以上も散歩した結果、ポンポンが脱水症状になり、慌てて動物病院で処方してもらったことがある。
あまり知られていないことだが、犬を外で飼うことが当たり前だった昭和30年代などは、熱中症で犬が死ぬことも多かったという。
しかし、である。
さあ、ここからは皆さんにもお立会いいただきたい。
僕はそれでも短い時間の散歩なら大丈夫だと考えている。
いくら長毛種とはいえ、そこはやっぱり犬だ。