弁護士に聞く離婚相談 (2) 妻が貯金約800万を使い込んだ! 離婚してお金も返してもらいたい
また、離婚する際に使い込んだお金を返してもらえるか、という3つの問題点があります。
本件では、妻による夫婦の預金の使い込みがあったとのことであり、具体的には、妻が頻繁に旅行に行く、家計の収入に見合っていない高価なバッグをたくさん買うなどという「浪費」をしたことを離婚の理由にできるか、という風に言い換えることができると思います。
ご存じと思われますが、民法は離婚原因を法定しており(770条1項)、話し合い(協議離婚・調停離婚)で解決できない場合、離婚原因がなければ裁判では離婚は認められません。
そこで、本件が民法上のどの離婚原因に該当するかといえば、考えられるのは「婚姻を継続し難い重大な事由」(770条第1項第5号)しかないでしょう。
そして、「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻し回復の見込みがないことを意味するので、妻が見栄や虚栄心のみから、収入に見合わない高価なブランド品や貴金属類などを買いあさるなどし、また友人と頻繁に旅行などして豪遊し、それが原因で回復する見込みがないほど婚姻関係が破綻したと認められる場合には、離婚原因があるといえます。要は程度問題ということになりますが、本件では、家族との旅行もお金の使い道だったということなので(家族との旅行は一概に浪費とは断言できないでしょう)