高ぶる気持ちを何とか抑え込み、かすれた声で「ぶ、ブラック焼きそばをひとつ!」と注文する。
厨房(ちゅうぼう)からは、フライパンで炒める音とともに香ばしいにおいが漂ってくる。
さすが本格的な中華料理店、たとえB級メニューでも手抜かりはないらしい。
やがて、香ばしいにおいとはミスマッチなB級グルメ臭たっぷりの焼きそばが運ばれてきた。
予想通り、真っ黒な麺の焼きそばが、皿からあふれんばかりに盛られている。
トッピングは薄焼きたまごにマヨネーズ、ケチャップ、青のり、紅ショウガ。
赤と黒のコントラストが、この地にはせた上杉謙信とそのライバル、武田信玄の映画をほうふつさせる。
早速食べてみると、卵のプルプル感と腰のある黒い麺が絡まることでとてもマイルドだ。
見た目のインパクトのある色味からは想像できない、優しい味という意外な展開となった。
また、イカスミ特有の生臭さは、炒めることによって軽減されているのだろうか。ちなみに月徳飯店系列のお店には、黒酢をかけたものや目玉焼きをのせたものもあり、同じブラックでも大きく差別化を図っている。
もう一軒、注目したのは「食べ処なかしま」だ。