菅田将暉の過激な濡れ場も!R15+指定のボクシング青春ドラマ『あゝ、荒野』に熱くなる - 古川ケイの「映画は、微笑む。」#24
と再会し、満たされない何かをぶつけるように激しく芳子の肉体を求める。
そんな芳子もまた、震災を経験した被災者で、故郷に母を残して上京してきた過去を持ち、心に穴を抱えて生きているのだった。
一方、自分に暴力をふるっていた元自衛官の父親・建夫から逃げてきた建二は、建夫からボクシングをばかにされ、初めて父親に反抗する。
10歳年上の建二を「兄貴」と呼び慕ってくれた新次は、建二にとってほぼ初めてできた友だちだった。
いつか新次のようなボクサーになりたいと思いながらも、なりきれずに複雑な思いを抱える建二は、ついにある決心をして……。
◼︎『あゝ、荒野』の見どころは男ふたりの熱い友情と葛藤
原作の描かれた1960年代から、舞台を東京オリンピック後の2021年に移した本作。
メガホンを取った岸善幸(きし・よしゆき)監督はインタビューで「人間は、人間とは何かを問い続けていく生き物だと思うんです。寺山さんもそうだったのかもしれない。アイデンティティの探求、自分は何者なのかということを問いかけている。二部作を通じてこの映画がたどり着くところもやっぱり、そこ。僕は、ここにいるよ、という叫びです」