「昨日に遡って、もう一度同じ1日を同じように生きてみなさい」。
それは、同じくタイムトラベルの能力を持つ父親が、人生をかけて体得した幸せに生きるための秘訣でした。
同僚のミスに苛立ち、雑務に追われて食事もろくに取る時間がなく、駆け足で仕事現場に駆けつけなんとか仕事をこなして、通勤電車に揺られて疲れ果てて家に帰り、ベッドにもぐりこんで死んだように眠る。
いいことなんてひとつも見当たらなかった日、ティムは父親の言葉に従って、タイムトラベルでもう一度同じ日をまったく同じように繰り返してみます。そこで、彼は気づきます。まったく同じ日が二度目はまるで違って見えることを。
■心をリセットする
「タイムトラベル」と聞くと、急にファンタジー感が漂いますが、この映画が描く世界は、平凡な人々の何気ない日常。ただ、「何気ない日常」は「何もない日常」とは違います。
悲しんだり、はしゃいだり、失敗したり、素敵な出会いがあったり、失恋をしたり、思いがけない幸運が舞い込んだり、何をやってもうまくいかなかったり。
平凡に見える毎日は、実は大小さまざまな思いがけない出来事でできている。そんな非凡な日常を、人は平凡な人生だと嘆く。