『コウノドリ』第1話――新シリーズのテーマは「お母さんの生き辛さ」
マナは難産の末、無事に出産するが、背後からクラクションを鳴らす車に親子3人が気づかないシーンは今後の苦労を暗示している。それでも赤ちゃんが泣いているのを「(車が来るのを)教えてくれたんだね」と微笑み合う夫婦を見ると、ホッとする。
「出産は奇跡だ」とサクラは言う。出産シーンって、不思議なんだけど、見ているだけで泣けてくる。筆者も第1話だけで泣きっぱなしだった。それはきっと、奇跡を目の当たりにしているからだろう。でも、奇跡にいつまでもひたっているわけにはいかない。その後には現実が待っているのだ。
■赤ちゃんのため、それぞれの事情をみんなで乗り越える
お母さんたちの生き辛さを描くとき、周囲の無理解や非協力的な態度を安易に糾弾しないところが『コウノドリ』というドラマの優しさと丁寧さだ。
たとえば、非協力的な夫のナオト・インティライミを懲らしめるのは簡単だが、それで何もかもすぐに解決するわけではない。原作者の鈴ノ木ユウはインタビューで「妻の出産の際、僕は父親なのに出産のことを何も知らず、何もできなかった」と答えている(産経ニュース10月17日)。原作者だってナオト・インティライミのひとりだったのだ。