詩が生まれる瞬間に立ち会う――谷川俊太郎×覚和歌子「対詩ライブ」
という難しい質問までもが飛び出します。
「相手の詩ができあがるのを待っている間は、どんなことを考えているのですか?」
「ひとりで詩を書くのと対詩とは、どんなところが違いますか?」
そんなやりとりを重ねていくうちに、詩や詩人が身近になり、言葉というものがより愛おしくなっていく――それこそが「対詩ライブ」の魅力であり、多くのリピーターを生む理由なのでしょう。
■連句から連詩へ、そして対詩へ、読者の心の中へ
連詩には何を書くかを自分で決めなきゃいけないというストレスがない。よく自己表現と人は言うけれど、実は自己表現というものも他からの働きかけがあってはじめて可能になるんだってことを連詩は教えてくれるんです。谷川俊太郎
日本の伝統文芸には、上の句(五・七・五)と下の句(七・七)を順に読んでいき、ひとつの詩を作り上げて楽しむ「連歌(連句)」という形式がありますね。これをもとに始まった詩の共作が「連詩」です。
「他人がいると、思いがけないことがきっかけとなって言葉が出てくる」と語る、谷川俊太郎さん。
「連詩は誰が作者というわけではなく皆で創るもの。
こうした世界観は日本独特のもので、いい意味で我が消えているすごく美しい世界だと思うんですね」