「能楽」で好奇心の扉を開く。素敵なあなたにすすめたい和の習い事
私たち玄人は自分の師匠に普段の稽古で褒められることはありません。独立後も、そのときの舞台であったり、自分のレベルに応じて師匠や先輩方からご注意やアドバイスをいただきます。芸の道に携わるということは、終わりのないものを追い続けることでもあるのだと思います。
お弟子さんに教える際は、できる限りその方の特性を見て、それぞれに合った指導を心がけています。ひとつ基礎である所作(型)を覚えたら終わりではなく、それができてようやく手の角度であったり、微妙な感覚を伝えることができる。
本人にも自分の成長を実感してもらいたいので、時には厳しめに伝えることもあります。……こういうことをお話しすると怖がられてしまいそうなので、あまり言いたくはないのですが(笑)。
それでも、お弟子さん方がひとつ社中会を終えて、「もっと前に進みたい」「いつかまた能をやりたい」と研鑽を積んでいくのは嬉しいことです。
わかりやすいものが優先される時代だからこそ、能のように、一歩進んでようやく次の一歩に進めるというものの魅力を、身をもって伝えていきたいと思っています。
■能が新しい好奇心の扉を開いてくれる
――最後に、能をご覧になったことのない方に一言いただけますか。