「能楽」で好奇心の扉を開く。素敵なあなたにすすめたい和の習い事
に所蔵されている憧れの装束や能面で舞える機会があれば、やはり嬉しいと思いますし、自分の師匠や尊敬する能楽師の先生方と一緒に舞台に立たせていただければ、舞台を終えたあとに幸せな時間だったと実感することもあります。
ただ、我々がやっていることは一生勉強していくことなので。1回の公演を無事に終えられたらそこで完成、ということはないですね。
続ける動機は……能が好きだからの一言に尽きるのですが、やはり670年続いてきたものを後の時代に継続すると言う責任は、少なからずあると思います。
家に子どもができてからは、将来子どもたちが能楽師になりたいと言ったときに、少しでも良い環境で能を続けられるようにするのも、親である自分の役割だという思いも強くなりましたね。
(*2)銕之丞家…江戸時代中期に観世宗家より分家した観世銕之丞家。現在、本拠地は東京・南青山の銕仙会能楽研修所にある。
舞台での谷本さん。
幼い頃の憧れがあって、いまに続いている。(能『松風』、撮影:駒井壮介)
――お素人さんの能の稽古は、そうした玄人の方々が歩む芸道の一端にふれるものなのかと想像しました。
谷本さん:そうですね……稽古を始める前と後では、確実に能の見方や感覚は変わると思います。