「能楽」で好奇心の扉を開く。素敵なあなたにすすめたい和の習い事
清水の舞台から飛び降りる気持ちでいつか挑戦してみていただきたいとは思っています。
■玄人として能に携わるということ
――素人でも能を上演できる……なんだか遠い世界に感じられます。
ところで、能楽師である谷本さんにとっては「能を演じること」は日常かと思います。
普段どのようなことを考えて演じていらっしゃるのでしょうか。
谷本さん:そうですね……正直能を舞うということは大変に苦しいことなんです。
見ていると「ゆったりしているな」と思われるかもしれませんが、能面をかけると視野も狭く、10キロや20キロもある装束を着けて舞台の上で舞うということは、実際苦しいです。
能を演じるのは決して楽なことではない。それでもなお、続ける魅力がそこにはある。
(撮影:今村綾子)
――苦しい……それでもなさるのは一体なぜなのでしょうか。
谷本さん:それでも……私の場合はやはり幼い頃から楽屋に出入りさせていただいて。鬘や装束がずらりとならんだ楽屋の風景、そしてそれを着ける大人たちを見て、いつか自分もあれに触れてみたいという憧れがずっとあったんでしょうね。
能面や装束にも触れることができるようになった今でも、銕之丞家(*2)