コード・レス・ドレス・コード 今日の自分を奮い立たせる古着たち
肩のラインがなだらかだったとしても、彼女の野心には何の影響もない。
スカートと同じくらいまばゆく光る屈強な精神で、彼女はオフィスをかつかつ歩く。
今の私のコーディネート
そのスカートは巡り巡って今私のクローゼットに吊るされている。
私はこのぎらぎらを夜遊びのときに着る。夜遊びと言っても、もっぱら散歩である。
夜の繁華街を徘徊するのが好きだ。
仕事に行き詰るとなるべくワルそうな装いで出かけていき、遊んでもいないのにイキって歩く。
大阪なら中津から十三大橋を通って十三の飲み屋街へ。
淀屋橋から北新地を冷やかし大阪駅へ。鶴橋から酔っ払った大学生を掻き分け難波へ。
東京なら銀座から新橋を抜けて麻布十番へ。やっぱり新橋を通過して赤坂へ。
ぎらぎらの服を着ていると誰も話しかけてこない。一時間くらいイキりながらうろつき、疲れたら電車で帰る。
ネオン溢れる車窓にスカートを映しながら、この金色の鎧の、前の持ち主を思う。アフターファイブのナイトアウトにもこのぎらぎらは最適だ。
ミラーボールの光をさぞ反射したことだろう。
最寄り駅に着く頃には、悩んでいたことはどうでもよくなっている。