2017年2月22日 21:30|ウーマンエキサイト

俳優・桐谷健太さん 単独インタビュー!「かもめ食堂」荻上監督の最新作「彼らが本気で編むときは、」で描かれた家族愛のカタチ

目次

・小学校5年生のトモ。テーブルにコンビニのおにぎりが置かれている生活
・一番目立ちたい!よりも「斗真がきれいに見えるように」変化した新境地
・リンコさんと「キスしたい」「抱きしめたい」と、自分から監督に提案
俳優・桐谷健太さん 単独インタビュー!「かもめ食堂」荻上監督の最新作「彼らが本気で編むときは、」で描かれた家族愛のカタチ

Photo:有本真大


大ヒットした「かもめ食堂」「めがね」で、日本映画の新たな頁を開いた荻上直子監督の最新作「彼らが本気で編むときは、」は、“もう癒し系とは言わせない”と監督自らが語る“真骨頂”と呼べる映画です。

南カリフォルニア大学大学院の映画学科に留学していた20代の6年間、それから12年後、夫と生後間もない双子とともに再びアメリカ生活を送った1年間も、アパートの大家さんはじめ、周囲にはゲイ、レズビアン、トランスジェンダーの人たちが普通に暮らしていたのに、日本ではそうでないことに違和感を感じた荻上監督。

ある新聞記事で、中学生の息子に「おっぱいがほしい」と打ち明けられ、彼に “ニセ乳”を作ってあげた母親の存在を知った監督は、このお母さんに会いに行きます。

女の子になった息子を自然のこととして受けとめ、我が子を大切に思う気持ちを知り、自分の双子への愛情と変わらないと思った監督が、映画にしたいと切望したのがこの作品なのです。


俳優・桐谷健太さん 単独インタビュー!「かもめ食堂」荻上監督の最新作「彼らが本気で編むときは、」で描かれた家族愛のカタチ

©2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会


トランスジェンダーの女性・リンコ(生田斗真) 恋人・マキオを演じているのが、桐谷健太さん。普通の男性役ながら、セクシュアル・マイノリティであるリンコを、あくまで一人の女性として守り抜く姿勢の男らしいこと! 

そんな桐谷さんに、映画を作り上げるまでの熱い思い、この映画で到達した新境地についても、たっぷり語っていただきました。



■小学校5年生のトモ。テーブルにコンビニのおにぎりが置かれている生活

俳優・桐谷健太さん 単独インタビュー!「かもめ食堂」荻上監督の最新作「彼らが本気で編むときは、」で描かれた家族愛のカタチ

©2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会


―― この映画に出演しようと思われたのは、なぜですか?

「最初、マネージャーから電話があって、すごくいい脚本だと。母親が家を出て行ってしまった姪っ子が、元は男性だった女性と暮らしてる母親の弟と同居することになって…と聞いて、『ええっ、どういう話?』みたいにはなりましたけど(笑)。

でも、実際に読んでみて、すごくええ脚本やなあと思ったし、今、オリジナル脚本で製作する映画は減っているから、これは映画らしい映画になるんじゃないかって、すごく感じた。監督の作品も観ていて、『ああ、空気を撮る監督やな』って感じたから、めっちゃ楽しみでしたね、はい」

母・ヒロミ(ミムラ)と二人暮らしのトモ(柿原りんか)は、小学校5年生。帰宅すると、テーブルにコンビニのおにぎりが置かれている生活でしたが、ある日、母が男性と出奔してしまい、仕方なく書店勤務の叔父・マキオを訪ねます。
マキオは、彼らの母親(りりィ)が暮らす施設で働く恋人のリンコと同棲しており、三人の共同生活が始まりますが…。

俳優・桐谷健太さん 単独インタビュー!「かもめ食堂」荻上監督の最新作「彼らが本気で編むときは、」で描かれた家族愛のカタチ

©2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会


―― この映画に出演する前と後で、トランスジェンダーに関する感じ方、恋愛観に変化がありましたか?

「俺は東京に出てきたばっかりの時、ゲイの方にナンパされ、そこからこの業界、モデル事務所に紹介してもらったりして、ゲイやトランスジェンダーの友達がすごく多かったんです。いうたら僕も、大阪から出てきてマイノリティだったわけですよ。誰も知らない中、彼らはすごく優しくしてくれたし、中には下心あった人もいるかもしれないけど(笑)、でも、すごく仲良くて。

その頃からの友達に『こういう映画やるけど、聞いてもいい?』って、いろいろ話を聞かせてもらって。だから、俺の中ではトランスジェンダーって言葉は、この映画をやるまで知らなかったっていうぐらい、あたりまえの日常やったから、よくいう “認める” とか “認めない” とか、そういうことじゃなくて、いろんな考え方があってそれでええやん…っていう考え方なんです」

―― 当事者になってみて、初めてわかる差別があると思うのですが…。

「当事者ということでいうなら、中学生の頃、自分はトランスジェンダーだと気づいた時が、思うことはすごく大きいんやないかと思う。だからこの映画を観ながら、その友達たちは俺には何も言わなかったけれど、世間に対する苦しみや悲しさを経験してきたのかなと、想いを馳せたりしました。


役を構築する上で、友達に『トランスジェンダーの女性が、つきあう男性の共通点って、あったりするの?』って聞いたら、『それは健太、人それぞれだよ』と。普通、“人それぞれ” っていうのはヒントにならないじゃないですか、ある種漠然としていて。でも俺、それですごい腑に落ちたんですよ。

もちろん結婚を考えてるとしたら、すごく覚悟をちゃんとしてる人だと思う。で、その時に、『そうか、マキオってすげえ男らしい男なんやな』と感じた」

じっとこちらの目を見つめながら、丁寧に真摯に言葉を紡ぐ桐谷さん。ワイルドな印象が強いけれど、大きいのにとても繊細な手をしていて、美しい指を組んだり解いたりしながら、時に笑いを取り、時にガキ大将のように豪快に笑い、時にホロリとさせるのです。

■一番目立ちたい!よりも「斗真がきれいに見えるように」変化した新境地

―― マキオは普通の男性ですが、母親は夫が他の女性と駆け落ちした辛い過去があり、姉は好きになった男を追って家を出てしまう…という環境。そんな中でトランスジェンダーの恋人と暮らす彼を演じるのは、なかなか難しかったのではないでしょうか?

「マキオを演じる上で、いろんなリサーチをしたり、監督からは、監督の旦那さんのイメージなんだって聞いたり…。


ダサくて話もおもしろくなくて…って、旦那さんのことをガーッて文句言った後、『でも、すごく優しいんです』と。それ、聞いた時に俺、すごく愛情を感じて、『何か、グッとくるなあ』みたいな…。それでまた、イメージもらったんですよ。

でも、人を愛する気持ちとか傍にいたい気持ちは、別に俺と何ら変わんないって感じたから、それを核にして、無垢なマキオ像というか、マキオを生きられたと思ってますけどね」

最初は馴染めなかったトモも、お弁当を作ってくれたりする優しいリンコに、少しずつ心を開いていきます。リンコはリンコで、世の中から哀しい差別を受けながらも、辛い気持ちを編み物で紛らわせ、トモの愛らしさにだんだんと母性が目覚めていき…。


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