連載記事:人間関係に悩まない“うまい呼び方”
五百田達成さんが「名前の呼び方」について語る。ママ友や夫の呼び方【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第1回】
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あなたは周りの人からどんなふうに呼ばれていますか? 「○○ちゃんママ」と呼ばれる度に、「この人たち、私の名前を知っているんだろうか?」と不安になったり、夫に「ママ」と呼ばれる度に、違和感を感じたり…。そんなママも多いのでは?
また、逆にあなたは、周りの人をどう呼んでいますか? 同じように、ママ友を「〇〇ちゃんママ」、夫を「パパ」と呼んでいますか? それとも、下の名前やあだ名、名字にさん付けでしょうか?
呼び方によって相手との距離感を考えてみると、遠かったり近かったり。なんとなく呼び方と人間関係に密接な結びつきがあるのでは? と感じるでしょう。
「人の呼び方が、人間関係においてとても重要ではないか?」、つまり「呼び方によって、相手との関係が決まるのでは?」ということを分析したのが、作家・心理カウンセラーの五百田達成さん。呼び方と人間関係についてお話をうかがいました。
・「子どもの名前、どう呼んでる?」親の呼び方が“子どもの心”を育てる【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第2回】
・夫婦の満足度が急降下「夫をどう呼んでいますか?」【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第3回】
・ママ友つき合い「トラブルに発展しない」上手な呼び方【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第4回】
五百田達成さん プロフィール
作家・心理カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店→博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。
著書:『あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方』
HP:五百田達成オフィシャルサイト
■「名前をちゃんと呼んでもらえない…」フラストレーションがきっかけ
――そもそも、なぜ「呼び方=人間関係」に着目したのでしょうか?
五百田達成さん(以下、五百田さん):私の名前は、「五百田達成」と書いて、「いおた たつなり」と読みます。「五百田」という文字は覚えられても、読み方を正しく覚えてもらったことがほとんどなく。
下の名前も同様に、「たつのり」「たつや」と呼ばれることもしばしば。自分の名前を正しく呼んでもらうために、あらゆる説明方法を試してきましたが、うまくいったことがありません(苦笑)。
また、何より切ないのが、自分で自分の名前を気に入っている、ということなんです。なのに、きちんと呼んでもらえないというフラストレーションが小さな頃からありました。逆に、きちんと呼んでもらえると、とてもうれしい! という気持ちも味わい続けてきました。自分の名前を通して、昔から「呼び方=人間関係」は気になっていたんでしょうね。
もちろん、心理カウンセラーという立場からも、気になっていたテーマです。なぜ、夫婦は子どもがいない場所でもママ・パパと呼び合うのか? なぜ女性は下の名前で呼ばれるとうれしいのか? これは、女性ホルモンが活発化するという研究結果もあります。
呼び方により、人の心はどうして動かされるのか? 常々気になっていました。
そこへタイミングよく、「呼び方に着目した本を書いてみませんか?」というご提案をいただき、書籍『うまい呼び方』(サンマーク出版)を書くことになったんです。呼び方に焦点をあてた本は過去にもないようで、“日本初の呼び方研究家”を名乗る思いで分析&メソッドをまとめてみました。
■「どう呼ぶか?」に表れる距離感と人間関係
――どうして呼び方で人間関係は変わるのでしょうか?
五百田さん:「名は体を表わす」ということわざがありますよね? まさにその通り! と多くの人が実感していることと思います。ということは、そのことわざを発展させると「呼び方は人間関係を表わす」とも言えるのでは? と思ったんです。
仲が良いふたりは、あだ名や呼び捨てなどの呼び方をします。これは裏返せば、「呼び方を変えれば、仲良くなれる」ともいえるのではないかと。逆に、距離を置きたい人には、あえてよそよそしい呼び方をしてみたらどうかと考えたんです。
例えば、初対面の男性から「〇〇ちゃんさぁ〜」などと下の名前で気安く呼ばれると、一歩二歩うしろに下がりたい気持ちになりませんか? そんな時、たいていの人は「〇〇さん、なんでしょうか?」と、名字にさん付け+敬語で相手から心理的に離れることを無意識に行っているはずです。
このように、近づきたい人には距離を近づける呼び方を、離れたい人には距離を離す呼び方をすることで、お互いの距離(=人間関係)を呼び方ひとつでコントロールできるのです。