赤ちゃんの寝かしつけに音楽? プロに聞いた「1/f ゆらぎ」の本当のところ
梅雨が明ければ、いよいよ夏本番。キャンプや海水浴など、アウトドアを楽しむ計画を立てている方もいらっしゃるかもしれません。
ところで、自然の中にいるとなんとなく落ち着いたり、ゆったりした気持ちになったりしませんか? 実は、それには理由があるそう。
今回は、自然がもたらす癒し効果の中でも
「音」にスポットを当てて、そのメカニズムと、日常のプチストレスなシーンに取り入れたいおすすめの音楽を、
ヒーリングミュージックの専門家に教えていただきました。
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■人をリラックスさせる“自然界の3つの要素”
心がちょっと疲れている時は、自然が多いところでのんびりしたい…そう考える人は少なくないのでは。でもそれって、なぜでしょう。
生理学や心理学、睡眠学、メンタルヘルスなどさまざまな分野の医師とタッグを組んで
音の癒し効果を研究されている
池田邦人さんによると、自然に備わる3つの要素が大きく関わっていると考えられるそうです。
「まず1つ目が、
色です。
木々や植物のグリーンにはリラックス、海や空のブルーは鎮静といった視覚効果があるといわれています。
次に、
適度な湿度。中でも、森林は人が快適に感じる湿度に保たれていることが多く、肌で心地よさを体感できます。
そして、3つ目が
音です。風で木々がそよぐ音、波の音など自然の中で耳にする音は、一定ではなく時間的にリズム(周期)が変化します。この計算されていない不定的なリズムを『1/f ゆらぎ』と呼びます。そして
『1/f ゆらぎ』は私たちが最初に出会うリズムでもあります。そのため、心が落ち着くリズムとして、各分野で研究されています」(池田さん)
■「1/f ゆらぎ」はおなかにいる時から聴いていた?
人が最初に出会うリズム、というのはどういうことでしょうか?
「胎内にいる時に聴こえる音、
血の流れや
心臓が動く音が持つリズムが『1/f ゆらぎ』なのです。
試しに、手首で脈拍を測ってみてください。一定のリズムを刻んでいるように思えても、時計の針のように寸分違わず刻んでいるわけではなく、わずかにゆれがありますね。この
絶妙なゆれが『1/f ゆらぎ』です。
ママのおなかの中にいる時から聴いていて、そして自分の体にも備わっているおなじみのリズムを耳にすることで、リラクゼーションにつながると考えられています。
出典:"入眠サポート「自然音で眠りたい」"を聴いたときの脳波(Della Inc.「眠りの自然音研究所」2007年2月調査より)
上の図は、自然音を含む音源を聴く前後の脳波を測った検証結果です。左が試聴前、右が試聴開始から6分後です。
試聴前は、グラフの右側に多く起伏がみられますね。これは、日中活動している時の状態にあらわれる
『ベータ波』が活発になっていることを示しています。
一方、試聴をはじめてしばらくするとグラフの左側、まどろんでいる時にあらわれる
『シータ波』、眠っている状態の
『デルタ波』に大きく振れています。
音は主観でとらえるものですから個人差はありますが、自然音によるリラクゼーション効果の有意性は、さまざまな研究から科学的にも認められています。実際、医療の中でも睡眠やメンタルヘルスの分野では、代替療法としても取り入れられているんですよ」(池田さん)