連載記事:苦手な人とうまく付き合う“境界線”の引き方
過保護・過干渉になっていない? 「心配だから」「あなたのためだから」は要注意!【苦手な人とうまく付き合う“境界線”の引き方 第4回】
バウンダリーとは、自分と他者の間にある境界線のこと。これまでは、自分の領域に侵入されて困っている側の話でしたが、最終回は
相手の領域に侵入してしまう側の悩みを取り上げます。
「子どもに毎日の出来事を細かく聞いてしまう」「子どもの友だち関係が気になってつい干渉してしまう」といった
親子間でのバウンダリー・オーバー(境界線超え)を防ぐには、どうしたらいいのか?
『人間関係 境界線(バウンダリー)の上手な引き方』(同文舘出版)の著者であるおのころ心平さんに、話を聞きました。
お話をうかがったのは…
おのころ心平さん
一般社団法人自然治癒力学校理事長。ココロとカラダをつなぐカウンセラーとして、これまで2万4000件、約5万時間のカウンセリング経験を持つ。経営者、アスリート、文化人など多くのクライアントのセルフケアを請け負っているほか、パーソナル医療コーディネーターとして病院や治療法、医療選択もサポート。セミナー・講演回数は年150回を超える。
・オフィシャルブログ
■子どもに「今日、何した?」としつこく聞いてしまう
子どもの園や学校でのようすが気になり、「今日は何をしたの?」「何が楽しかった?」「何かイヤなことなかった?」と聞いてしまう。親心からくる言動ではありますが、これもバウンダリー・オーバーなのでしょうか。
「本人がイヤがってなければOKなのですが、答えてくれないのに繰り返し聞いているのなら、それは
親から子どもへのバウンダリー・オーバーといえます。まだ小さいとはいえ、子どもには子どもなりの感情世界があります。
あまりしつこくすると、小学校の中・高学年では
親用の顔とふだんの顔を使い分けるようになってしまいますよ」(おのころさん)
とはいえ、園や学校での様子をいっさい聞かずに、知らないでいるのも不安なものです。そこで、おのころさんが提案するのは、「
月に1、2回、親子でじっくりと話をする日を設定する」という方法です。
「矢継ぎ早に聞かれるのは、子どもからしたら“言葉の機関銃”を撃たれているようなもので息苦しくなってしまう。あらかじめ『学校のことはこの日に話そう』と伝えておくと、子どもも心の準備ができます。もし人間関係や勉強などで問題を抱えていても、その日に向けて解決するように頑張ってくれるかもしれませんよ」(おのころさん)
大人と同じで、子どもにも良い日もあれば悪い日もあるのが当たり前。「今日どうだった?」と早急に結果を求めるのではなく、「最近どう?」くらいの長いスパンで話を聞いてあげるといいでしょう。おのころさん自身、3人の娘さんが小・中学生の頃には毎月1回、ひとりずつとデートしていたのだそう。
「家にいると、どうしても仕事や学校などほかのことが入り込んできてしまいます。
2人きりで外出することで特別な空間を作り、
『あなたが一番だよ』と伝えて、とことん甘やかしてあげる。そうすると
本音が出てきて、『実はね…』とふだん話さないような話もしてくれていましたね」(おのころさん)
きょうだいのいる家庭では、ぜひマネしてみたいアイディアです。