連載記事:わたしの糸をたぐりよせて

幼稚園ママの詮索についていけない…夫があきれるママ友つきあい【わたしの糸をたぐりよせて 第4話】

わたしの糸をたぐりよせて

わたしの糸をたぐりよせて

「いつか自分のブランドを出したい」。そんな想いを抱いていた学生時代。でも希望の就職先にはことごとくふられ、入社できた会社で出会った亮。結婚して、子どもが生まれて、私は幸せになれると思ったのに…。私の…

前回からのあらすじ
幼稚園の保護者会で感じた、ある違和感。その不安は、ある幼稚園ママに誘われたお茶会でさらに膨らんでいく…。
「ママ友とのLINE交換が闇に落ちる始まり!切れない糸に巻き付かれていく」

●登場人物●
友里:都会で就職し結婚したが、夫・亮の転勤で地元の街に戻ってくる
:友里の夫。友里から告白してつきあうように。息子の悠斗を妊娠して以来、夜の生活がない
マキ:悠斗と同じ幼稚園に通うママ友
カオル:悠斗と同じ幼稚園に通うママ友

※このお話はフィクションです


■ママ友とのお茶会の行方


幼稚園ママの詮索についていけない
結局、その日のお茶会は1時間も経たないうちに解散になった。

みんな一緒に家を出て、まとまって幼稚園に子どもを引き取りに行くけれど、上機嫌なのはカオルさんだけ。
マキちゃんも口を開かないし、もちろん私も話をしたくない気分。

お邪魔させてもらった家は、同じうざぎ組のママさんの家だった。何もわからず連れてこられてしまったが、その人は今日のお茶会のためにカオルさんから準備をするように言われ、用意して私たちを待っていたらしい。

そのママさんは、カオルさんに部屋の中をジロジロ見られていろいろと詮索されて、かわいそうになるくらいだった。

これが独身のころの付き合いだったらカオルさんに対して怒ってるところだけど、声を荒げて肝心の子どもの関係がこじれたらと思うと何もできなくなってしまう。

(こんなこと、いつまで続くんだろう……)



夜、夕食の支度をしているとマキちゃんからLINEが入ってきた。


『友里ちゃん、こんばんは。お疲れさま。
あれから、今日お邪魔した人のところにLINE打ってみたのね。
すごく大変だったんじゃないかなって。

そうしたら、“あれくらいのことは全然平気です。タンスの中身を見られたわけじゃないし、本棚の本が増えたのと、テレビと冷蔵庫を買い替えたのを気づかれただけだから。
なので、佐々木さんも気にしないでくださいね”って返事来たけど、やっぱり大変だと思うんだよね。この童話はつまんなかったとか、DVD買うならCATV加入した方がいいとか言われちゃうとか』

(マキちゃん、今日のママさんに労いのメッセージ送ったんだ……気が利くよね……)

そう思いながら、私は“大変だよね”と送信した。


次になに言おうかと言葉の糸を探っていると、横から転がる毛糸玉みたいな勢いでクラスLINEの通知が来た。

『お疲れ様です。上田です。今日、一部の保護者の方からとあるお方のお宅にお邪魔したという話を聞きました。
子どもを園に送り届けたあと、引き取りまでの間、皆さんがどんなことをなさっているか私としても詮索するつもりはありません。
しかし、一部の方に過重な負担がかかるような行為を確認した以上、私としても放置するわけにいきません。
今後は、そのようなことは慎んでいただけると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします』

(これ……今日のことだよね。
誰かが教えたのかな)

上田さんがこうやって釘を刺してきた以上、明日以降は目立つ行動はとれなくなる。
ホッと胸をなでおろした次の瞬間。またしてもLINEの通知音が鳴った。

ため息をひとついたところで、通知音よりはるかにけたたましい声がした。
「ママぁ、おなかすいたぁ!!」


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