くらし情報『「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評』

2023年6月25日 11:10

「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評

ちょっと重たくて、面白いエッセイを読んだ。

『それでも女をやっていく』

そのタイトルを見たときに「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」というフランスの哲学者・ボーヴォワールの言葉を思い出した。

「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評

■「女になった」瞬間

私が小学生高学年の頃、祖母の家でそれはやってきた。今まで感じたことのない痛み。お腹を内側からジリジリ焼かれているような不快感の後、拳で腰を殴られたような鈍い痛みを感じた。

祖母が炊いてくれた赤飯を「これが噂に聞くやつか……」と不思議な気分で食べたのを覚えている。

夜、迎えに来てくれた父の車に乗り込もうとして、いつものようにガードレールをまたいだ私を祖母は穏やかにいさめた。


「XXちゃん、もうそんなことしたらダメ、今日から女になったんだから」

祖母のぽかぽかした呆れ顔とは対照的に、私がそのとき感じた居心地の悪さ、父に聞こえていないかというざらついた恥ずかしさの感触は、今も胸の内に刻まれている。

自分が「女」だと感じさせられるのは、このような綺麗でわかりやすい瞬間だけではない。

本著では、「女」にまつわる葛藤や困難、不自由さ、味わい深さ、そして「娘」「腐女子」

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