くらし情報『「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評』

2023年6月25日 11:10

「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評

「異性愛(ヘテロ)」「弱者・被害者」など、著者が自ら付し、また他人から付せられてきた様々なラベルについての考察が綴られている。

起きた事象や過去の感情から少し距離を置き、どこか俯瞰しながら書かれたノンフィクション本が世にはたくさんある。テンポ良く、小気味よいエッセイも。

だが本書は、そんな余裕を許さない。

自身の物語をつぶさにルーペで観察し、拡大された断片を読者にずいっと差し出してくる。ときにユーモラスで、ときに自虐的で、ときに手厳しい。

ええ、ここまで曝け出していいの?とこちらが赤面しながら両手で顔を覆い、人差し指と中指の間からおずおず覗き見してしまうような、そんな生々しいシーンも多々ある。

テーマとしては、母と娘、女友達、「男」側からのジャッジ、妊娠出産、女性性にまつわるコンプレックス、性愛のかたち……など実に色とりどりだが、読み進めていくと、著者のあけっぴろげな独白と真摯で鋭い分析に、たちまち身包みを剥がされる。
彼女の自意識と私のそれが共鳴し、自分の中の劣等感、ずるさ、甘さをすべて暴かれている感覚に陥る。■ついた傷は、ごまかせない

サークルや会社などのコミュニティに入ったとき、よく同期の女を並べて誰派かを大声で話す男どもがいる。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.