「本当に好きな人からは好かれない」のはなぜ? 『傲慢と善良』から見える現代恋愛のこじれ
アラサーという年代の孤独、苦しさ……あなたも感じたことがあるのではないでしょうか。人生において、結婚が当たり前だった親世代との感覚の違い。恋愛にしろ転職にしろ、常に「スペック」で判断され、なぜか歳を重ねるごとに自信をなくしていく感覚。
自分だけが取り残されてしまうのではないかとネガティブに考えてしまう、この焦りはどこからやってくるのか……終わりのないモヤモヤに一つの解を出してくれたのは、とある恋愛小説でした。
『傲慢と善良』(辻村深月・朝日出版)は、辻村深月さんの作家生活15周年記念作品として単行本が刊行され、現在発行部数は93万部を突破し、2023年に最も売れた小説として話題を呼んでいます。特に、主人公と年代の近いアラサー世代の人が読めば必ず、自身について振り返らざるを得ないはず――。
【この本を読んで分かること】
・誰しもにある「無自覚な傲慢さ」
・「なんとなく生きづらい」のひとつの答え
・競争社会での人生ゲームのリセット方法
■善良な私たちは、無自覚に自己愛を肥えさせている
『傲慢と善良』の物語は、登場人物の一人である西澤架の婚約者が、結婚披露宴を目前に行方不明になってしまうところから始まります。