かつてない共感。珠玉の言葉でつづられた、17人の女性の「個人的な性の話」
だけど、もやもやする。そう思っているのが自分だけではないことを知って、安心した。
17作ものエッセイが集録されているので、誰にとっても自分が体験したことがないエピソードも目にできるはずだ。90年代後半生まれから、70年代生まれの作家がおり、年齢層が幅広い。中には、自分がまだ到達していないライフステージに挑戦している人もいる。
例えば、藤野可織さんは妊娠と出産にまつわるエピソードをつづっている。今まさに「子どもを持つべきかどうか」悩んでいる人には共感性が高く、おすすめだ。
■赤裸々なエッセイを通して自分の身体と性とも向き合う
逆に自分よりもずっと深く、自身の身体について深く考えていることが伝わる話もあった。
作家という、文章と向き合ってきた人たちが吐き出す言葉を摂取してみると、自分では辿り着かなかった意識の境地も垣間見ることができる。性って、自分の身体って、こんなにも奥深いのだなと思う。
一昔前と比べれば、性に関する個人的なエピソードを気軽に入手できる時代が来たのだと思うが、私たちの悩みは、実はもっと切実だったのではないか、とこの本を読んで思った。年齢とともにやってくる身体の変化や性欲について、痴漢やセクハラといった日常的な性被害。