Think Pink--2017春夏の注目カラー“ピンク”の捉え方【2017年春夏コレクション考察--横井由利】
ジバンシィにはこれまで存在したことのない「神秘のピンク」なのだ。女性にアピールするピンクというより、かつてピンクに見向きもしなかった女性へ向けたスピリチャルなメッセージをピンクのメノウプリントで、投げかけているかのようだ。その後登場したフューシャピンクのドレスも、イタリア人特有のぬくもりを感じさせるピンクだった。■ヴァレンティノ(VALENTINO)/必然のピンクピエールパオロ・ピッチョーリ(PierPaolo Piccioli)は、単独のクリエイティブディレクターとなったコレクションの冒頭に女性へのオマージュのように一連のピンクを発表した。イギリスのデザイナー、ザンドラ・ローズ(Zandra Rhodes)にルネッサンス期のネーデルラントの画家ヒロニムス・ボス(Hieronymus Bosch)の「快楽の園」を再解釈したイラストをペールピンクからサンドラの髪の色のようなショッキングピンクのドレスに刺繍で描いた。メゾンのDNAともいえるどこか甘く切ない女心をくすぐるポイントをピエールパオロは身につけていたのだろう。つまり、ヴァレンティノ・ガラヴァーニのフェミニズムは、色や素材の隅々にまでいきわたっており、メゾンの未来に受け継がれていくに違いない。