2019年1月26日 17:30
映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』母が遺した“愛のかたち”に涙する感動の実話
子供の頃から泣き虫で病気がちで、お調子モノだったサトシは、いつも明るく、優しく、パワフルな母に救われてきたのだった。
その母が突然がんを宣告されたのは 2 年前の春のことだった。それまで母が自分にかけてくれていた言葉を今度はサトシがかける番になる。「俺がいるから大丈夫だよ、お袋は必ず助かるから」―。サトシは母のためにがむしゃらになり、家族も戸惑いながらも見守るが、がんは進行していってしまう。弱気になりがちなサトシを笑顔にさせてくれたのは、母が病になってからよく家に来てくれるようになったサトシの恋人・真里だった。
2011 年・秋。それまでの自宅治療から入院に切り替わる事になった母は、それでも気丈にふるまい、サトシと真里の結婚を後押ししてくれるのだった。
そして、2012 年・春。ついに、その時が来てしまった。病室に駆け付けたサトシは母の命がゆっくり消えゆく前に、「お袋……愛しとるよ。」と伝える。そして家族に見守られ母は安らかに旅立っていった。
一家の大黒柱の存在だった母と別れて、すっかり生きる気力を失っていたサトシ、そして父と兄。それまでしっかりしていた父は酔っぱらって庭に大の字で寝転んだり、兄も母の壊れた形見の時計を肩身放さず身に付けていた。