解散となった会議の片付けをする傍ら、喜びを1人噛みしめていると、
「高杉先輩!」
後輩の旭日(あさひ)が、駆け寄って来た。ハリのある肌とキラキラの笑顔が眩しい。
私より8歳下だから、26歳?まだまだ徹夜も平気な年齢か。あとで、美容ドリンクを飲もう。
「さすがです! 私、一生先輩に付いて行きます!」
「ありがとう」
可愛いやつだな。旭日にもドリンクを奢ってあげよう。
「そういや、先輩。この前話していたレストラン行きました?」
「あぁ、あの海沿いのレストラン?行ったよ」
「いいなぁ~。
彼氏と行ったんですか?」
「まぁね」
「リッチな彼氏で羨ましいです。どんな人ですか? いい加減紹介してくださいよ!」
「今度ね」
絶対ですよ、と、旭日が念を押す。それに「はいはい」と答えながら、内心こう思う。どうして他人の恋人に興味があるのだろう?恋愛なんて、人生のスパイスでしかないのに。
「聞いてくださいよ、私の彼氏なんて……」
あと、どうして自分の恋愛話を他人に聞いて欲しいのだろう?
旭日の話が長くなりそうで辟易していたところ、別の女子社員に声を掛けられた。
「会議室を閉めたいんですけど、そろそろ良いですか?」