くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)

「あ、雪村(ゆきむら)さん、ごめんね」

「いえ」

あれ、気のせいかな?今、睨まれた……?



突然の告白

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)


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週末のレストランは、予約をしていても待たされることが多い。誰にも邪魔されず有意義に過ごすには、個室が1番。

料理はシェフのおまかせコース、もちろんワインはペアリングで。

彼のどこが好きかと聞かれたら、絵に描いたような理想を叶えてくれるところなんだと思う。

「改めて、おめでとう」

「ありがとう。でもそれはプロジェクトが成功してから言って」

「相変わらず向上心が高いな。汐里(しおり)は」

ろうそくの火がロマンチックに揺れる。

「新実課長の厳しいご指導のお陰です」

「ふたりの時くらい”課長”は、やめろ」

「確かに、未だに変な感じ」

私より4歳年上の新実さんは、甘いマスクのせいか38歳にはとても見えない。


だけど、その中身は異例の速さで出世したエリート中のエリート。

高学歴、高身長、見た目の完璧さもあり、女性社員の憧れの的だ。

後輩の面倒見もよく、私を主任に引っ張り上げてくれた人でもある。

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