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再会
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「えーと、被害にあったのはあなた?」
「はい」
「勇敢なのは良いけど、危険だから犯人を捕まえようとするなんてダメですよ」
「はい……すみません」
穴があったら入りたいとは、このことだろう。警察官のお説教を受けている間、恥ずかしさで小さくなる。
結局、犯人を取り逃がしてしまったし、思った以上に大事になってしまった。
開けっ放しにしてある玄関から、マンションの住人が何事かと覗いている。せめて、干したままの洗濯物を見えないところに隠したい。
「こういう時は犯人を刺激せずに、110番してくださいね」
「分かりました」
「ところで、さっきからずっと手をさすっているけど、大丈夫ですか?」
「いや、それが……痛いんですよね。すごく」
そうこう話しているうちに、手首が腫れ上がってしまい救急車を要請することになった。
搬送されたのは、家から25分ほど離れた総合病院。
担当してくれた若い医師が、私の手首を見て顔を歪ませた。
「これは折れているかもですね、レントゲンを撮りましょう」
「お願いします」
「……ん、あれ」