『気晴らしに、週末どっか行かない?』
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週末デート
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週末の天気は、晴れ。抜けるような青空が気持ちいい。
マンションの下で待っていると、通りの向こうからやって来た黒色のSUV車が私の目の前で停車した。大和だ。
彼は車から颯爽と降り、助手席のドアを開けてくれる。
「お待たせ、どうぞ乗って」
「ありがとう」
「今日のしおちゃん、すごく可愛いね」
「そう? ありがとう」
気取ってお礼を言ったけど、内心ドキッとする。
シャーべットカラーのフレアロングスカートは甘すぎるかと思ったけど、これにして良かった。
「どこ行くか決めた?」
「まぁ、だいたい。
しおちゃんは行きたいところある?」
「うーん、特には」
「じゃぁ、今日は俺のプランで行くということで……」
大和はそう言いながら、後部座席にあった箱を手に取り私に渡した。
「これは?」
「そのハイヒールじゃ疲れるから、このスニーカーに履き替えて」
「どこに連れて行く気?」
大和のプランその1は、水族館だった。
ベタなチョイスに笑ってしまいそうになったけど、色々と調べたりしてくれたのかと思うと素直に嬉しい。