発券所で並んでいると、大和が私をまじまじ見ながらこう言った。
「しおちゃん、そんな小さかったっけ?」
「いつもはヒールを履いてるからね」
「スニーカーの方が楽でしょ」
俺のとお揃い~って、自分の足を見せてくる。「楽だけど、変な感じ」
「館内は滑りやすいところもあるからスニーカーの方が安心だよ。それに、よく似合ってる」
眩しい笑顔。
大和ってこんなに格好良かったっけ?
シンプルなインナーの上にベージュのテーラードジャケットを羽織り、下は黒のテーパードパンツ。
髪の毛もワックスでセットしており、普段と全然違う人みたい。
「(やだな、ますます大和を意識してしまう)」
急に落ち着かない気持ちになった私は、話題を変えた。
「そういえばさ、今度合コン行くの」
「は? 合コン?」
「うん、後輩の旭日に誘われてね」
「ふーん。
誘われたら行くんだ」
「どういう意味?」
「別に」
不機嫌そうに答えた大和は、そっぽを向いてしまった。
何よ。そんな露骨に嫌そうな顔をしなくてもいいじゃない?
たかだか合コンに行くくらいで……というか大和が不機嫌になる理由なんて――――。