「今はまだ言えない」
「あっそ、分かった」
「ねぇ、大和。関係ないと言ったのは私の仕事に対してだよ。誤解しないで」
「うん、そうだね。俺には関係ないよ」
「ちょっと! 意固地にならないでよ」
キツイ言い方をした私も悪いけど、分からず屋な態度に腹が立つ。どうして仕事とプライベートを分けて考えられないの?
「もういいよ、出張でもどこでも好きに行けば」
「大和」
「もう帰ろう、話すだけ無駄だ」
そう言って席を立った大和は、レジでお勘定を済ませて外に出てしまった。追いかけようかと思ったけど、何だかその気力も無くなってやめた。今夜はお互い頭を冷やした方が良さそう……。
◆
謝罪
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「……すみませんでした」
急に謝られて驚いてしまう。
私に向けて下げた頭をゆっくり起こした雪村さんは、やつれた顔をしていた。今回のことが周りにバレて、かなり叱責されたんだろうなぁ……。
「許せる気にはならないけど、謝罪の気持ちは受け取るよ」
そう言うと雪村さんは、唇を震わせた。
「新実さんの言った通りです」
「何て言ったの?」