「高杉さんは、常に相手の立場になって考えられる人だ、と。だから、例え酷い目にあっても、きちんとした謝罪なら受け入れてくれるはずだって」
新実さんがそんなことを……。
『自分が悪いと思ったらきちんと謝れ』
『謝罪をされたら、許せなくても気持ちだけは受け取れ』
そんな人になれるように私を育ててくれたのは、新実さん本人だ。だけど、まだまだ相手の立場になって考えられていないよ。
「新実さんのことは、許してあげますか?」
「うん?」
「高杉さんが怪我をした時、新実さんは病院に駆けつけようとしたんです。それを阻止したのも、彼のスマホを取り上げたのも私です」
「そうだったんだ」
新実さんが病院に来てくれていたら、大和と親密になることもなかったし、あんなことで喧嘩することもなかっただろう。
そもそも、怪我をしたから大和と再会できたわけで……。新実さんのことを話しているのに、私の思考は大和の方へと向かっている。
「(大和、まだ怒ってるのかな?)」
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心境の変化
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